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Fri.05/11. 2007
5月11日8時32分配信 フジサンケイ ビジネスアイ


 生命保険会社が、大幅な増配による既存契約者への利益還元を加速している。金利水準の上昇による運用収益の改善によって、バブル崩壊以降、悪化していた財務体質の強化が進んだためだ。契約者重視の経営を徹底することで、保険金の不払いで失墜した信頼の回復につなげる狙いもある。(三塚聖平)

 最大手の日本生命保険は、2007年3月期分の個人保険の増配額が前年度比8倍の約460億円と17年ぶりの高水準となる。第一生命保険も全契約者の約半分にあたる530万件を対象に前年度より75%増の70億円の増配を実施。住友生命保険は4割に当たる400万件を対象に前年度比2倍の約65億円、明治安田生命保険は前年度比18倍の約110億円となる見込みだ。

 配当額は契約内容によって異なるが、日本生命の場合、5年前に5000万円の定期付き終身保険に加入した45歳の男性では、07年3月期分の配当額が前年度分よりも約6000円多い約9500円となる。

 中堅生保の富国生命保険も3年連続で増配を実施する方針。全契約者の7割にあたる190万件を対象に前年比2・5倍の約43億円となる見込み。3年連続の増配は1975年以来30年ぶりで、増配額は過去最高になるという。

 各社では、「利回りのいい外国債券への入れ替えが進んだことで運用収益が増大し増配が可能になった」(大手生保)などと説明している。

 配当は契約時点にあらかじめ約束した運用利回りである「予定利率」よりも実際の運用利回りが上回った際などに利益の一部を契約者に還元する仕組みで、その分保険料が割り引かれる。

 大幅な増配は、既存契約者への手厚い利益還元により顧客満足度を向上させる狙いがある。

 バブル崩壊後の契約者は低い予定利率での契約を余儀なくされ、結果的に保険料が高くなっており、「契約を続けてもらっているお客さまに報いる必要がある」(富国生命)と判断した。

 保険金の不払い問題に加え、新規契約では予定利率引き上げによる保険料の引き下げを進めており、信頼回復や契約者間の不公平感を解消する上でも、既存契約者への利益還元が急務との判断も働いているようだ。
生命保険


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